
定期借地権付きマンションという物件を見つけたのですが、あれって何ですか?

定期借地権付きマンションのことを略して「定借」なんて言い方をしますが、定借物件は土地を地主さんから借りて、建物だけを購入するタイプの不動産になります。

建物だけ購入して、土地は借りるのって何かメリットはありますか?
なんとなく自分のものであって、自分のものでないような気持になりませんか?

簡単に定借物件の説明をすると、地主さんと50年以上の借地契約を行いますので、例えば60年で契約した場合、60年間は地代を払いを払うことになりますが、購入する部分が建物だけなので割安で分譲マンションを購入することができるのが、「定借物件」のメリットだと思います。
通常だと途中で売りに出すこともできますし、人に貸すこともできます。このあたりは通常の分譲マンションとおなじです。
※規約によって賃貸に出せない場合もあります・・・

毎月、地代を払うのってやっぱり変な感じがします。やっぱり自分のものであって自分のものでない感じがしますね。

もう一つ付け足すと、この物件は60年後には更地(建物を解体して何もな無い状態)にして大家さんに返しますので、毎月解体費用も積み立てることになります。

ほらぁ
ますます人のもの感が、出てきましたよ
購入するメリットってあるのかな~


Aさん!ここで伝説の定借マンションの話をしましょう
2008年に住友不動産が販売した70年定借「シティータワー品川」
その名の通り、東京品川駅から徒歩10分ほどに位置するマンションですが、この物件が
「激安中」の「激安」
2008年頃は景気も悪く、世の中がどんよりとしていた時代。マンションもなかなか売れずの時代に、投げ売りともとれる価格で登場したのが
「シティータワー品川」
住友不動産ですから高級マンションの代名詞みたいな物件です。
この43階建てのタワーマンションが上層階の90㎡ほどの広さの物件で、3500万程の破格さ。
当然この物件が土地にも所有権があった場合には、こんな金額では買えないわけですから、人々は飛びつきました。
飛びつきまくりました
抽選倍率が300倍を超える住戸もありましたので、どれだけ人気があったのか理解できると思います。
景気の違いはありますが、現在、その物件は倍の価格になっていると思います。

むむむむ・・・?
うっすらとメリットが見えてきましたね。
それ、めちゃめちゃお買い得ですね。

これが「定借」の最大のメリットです。先にも言いましたが定借物件は地代がかかりますから、これも計算をしておく必要があります。
例えばこの「シティタワー品川」の毎月の地代を毎月16000円とすると・・・
16000円×12=192000円(年間の地代)×70年=
13440000円(地代総支払額)
途中で地代の見直しが行われる事がありますので、この金額が確定ではありませんが一応こんな感じです。
上層階の約90㎡の住戸が3500万円くらいでしたので、そこに1344万円を足すと4844万円
品川駅徒歩10分の住友不動産のタワーマンション上層階が5000万円以内で買えるって、これどう計算してもお得ですよね

すごっ
東京の品川なんて、僕には全く無理なエリアですが、この物件が格安だったのは分かります。
この物件建物のみを坪単価に直すと・・・・128万円ですか
そこに地代を入れて計算しても坪180万円くらいがトータルでの坪単価換算ってことですかね

Aさんすごっ!
坪単価計算マスターしましたね

【坪単価、マンション編】マンションの坪単価が分かると相場が分かる
で勉強しました。

Aさん、ワタシ、カンドーシテマス

坪単価計算は一度覚えると癖になりますね

そうです。坪単価の計算を癖付けると、相場感が養われますのでいいと思います。
定借の物件に話を戻すと、もう一つ「定借物件」で気を付けるのが、冒頭でも言いましたが建物の解体です。決まった期間が終了すると建物を解体して土地を地主さんに返しますのでその積み立てを行うことになります。

まだお金がかかるんですか?

そうです。これが結構重要なところです。
マンション建て替え問題でも説明しましたが、一般的な所有権のマンションは所有者が土地も建物も持分割合によって、すべてがオーナーの所有権になっています。なので物件の老朽化が進んでも、全所有者の4/5の賛成を得ないと建て替えができません。
建て替えが決まってもそれなりの費用負担は発生します。
その点、「定借物件」は取り壊す期日が決まっていますので、そこに向けて解体費を積み立てるため、非常に計画的と言えますね。

でも、毎月お金がかかるわけですよね・・・
しかも遠い将来のために・・・
なんだか、しっくりこないんだよなぁ

Aさん、あなた自分の事しか考えてませんね

どういうことですか???

分譲マンションは所有する限り、Aさんの資産になりますよね。
ということは、相続の対象になるということです。
例えばAさんが普通の分譲マンションを購入したとして、今のマンションは70年程度は持ちますので、Aさんが生きていればいいですが、お亡くなりになっていたとしたら、その物件は奥様か、お子様に相続されます。その相続
された方の代で建て替えが行われたら、その方の費用負担になるわけです。
それってどう思いますか?

それは困ります。
何のために残していくのか分かりませんから。

それに対して「定借物件」は壊す時期が決まっていて、解体費も積み立ててますから負担もそれほど大きくないわけです。
その物件が賃貸に出してもいい物件であれば、ご自身が住まなくても取り壊し間際まで誰かに住んでもらって、運用物件として利用すればいいわけです。

なるほどなぁ
「定借物件」も考え方ひとつで見方が変わりますね。
とは言え、定借物件で気になる物件を見つけたら、細かい計算が必要そうですね。
シティータワー品川みたいな物件が、今後、出てくるかわからないし、割安な物件があったら考えようと思います。

そうですね。
「定借物件」なら何でもお得っていう話ではありませんから、物件を見つけた場合、坪単価・地代・解体費などトータルで計算してみて、割安だと感じたら具体的に考えてみてください。